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2005年 06月 04日
【頑張れ海保】 パイレーツ・オブ・コリアン(後編) 【負けるな海保】
中編からの続き。

さて、先程「勘のいい人は奄美沖"北韓武装工作船"撃沈事件の際の根拠法令も魚業法違反であったと気付くわけです」と言いましたが同法第17条には
海上保安庁法(法庫)
第17条
 海上保安官は、その職務を行うため必要があるときは、船長又は船長に代わつて船舶を指揮する者に対し、法令により船舶に備え置くべき書類の提出を命じ、船舶の同一性、船籍港、船長の氏名、直前の出発港又は出発地、目的港又は目的地、積荷の性質又は積荷の有無その他船舶、積荷及び航海に関し重要と認める事項を確かめるため船舶の進行を停止させて立入検査をし、又は乗組員及び旅客に対しその職務を行うために必要な質問をすることができる。
2 海上保安官は、前項の規定により立入検査をし、又は質問するときは、制服を着用し、又はその身分を示す証票を携帯しなければならない。
3 海上保安官の服制は、国土交通省令で定める。
■とあります。

まぁ今回の場合は明らかに見て分かる漁船でした。
しかし、恐らく分かっていたであろう北韓の偽装武装工作船「漁業法違反容疑」と言っても何となくすっきりしません。
よって海上保安庁法第17条が根拠となりそうな気もしますが何故「魚業法違反」だったのでしょうか。

今回の漁船や北韓の偽装武装工作船が見つかった「排他的経済水域(Exclusive Economic Zone)」で沿岸国に認められる権利は主に天然資源関係のみであり、それは沿岸国の主権の及ぶ「領海」と違い排他的経済水域において沿岸国が及ぼすことが出来るのは限定的主権(管轄権)に過ぎません。
EEZの基本的な性質はあくまでも「公海(open sea)」ですから「旗国主義」と呼ばれる「船舶が掲揚する国旗の属する国、すなわち船舶が籍を置く国の領土の一部として取り扱われ、当該国の法令の適用を受ける」と言う原則が適用されます。

つまり公海では船舶の旗国のみが管轄権を行使できるという事です、よって例え北韓の船や軍艦が我が国のEEZを通過しても「沿岸国法益」即ち沿岸国の平和・秩序又は安全を害しないように通航することを「無害通航」と言いますが、これも解釈によりますが一応「無害通航」であれば沿岸国も通航に対して何の文句も言えません。

よって、例え相手が偽装武装工作船と分かっていても現行法では対処する術がありません。
ですから「魚業法違反」なんですね。

しかし例外的に公海上で国家が外国船舶に対して「公海海上警察権」を行使することができる場合があります。
それは
海洋法に関する国際連合条約(月刊「健論」)
第110条  臨検の権利

1 条約上の権限に基づいて行われる干渉行為によるものを除くほか、公海において第95条及び第96条の規定に基づいて完全な免除を与えられている船舶以外の外国船舶に遭遇した軍艦が当該外国船舶を臨検することは、次のいずれかのことを疑うに足りる十分な根拠がない限り、正当と認められない。
a 当該外国船舶が海賊行為を行っていること。
b 当該外国船舶が奴隷取引に従事していること。
c 当該外国船舶が許可を得ていない放送を行っており、かつ、当該軍艦の旗国が前条の規定に基づく管轄権を有すること。
d 当該外国船舶が国籍を有していないこと。
e 当該外国船舶が、他の国の旗を掲げているか又は当該外国船舶の旗を示すことを拒否したが、実際には当該軍艦と同一の国籍を有すること。

2 軍艦は、1に規定する場合において、当該外国船舶がその旗を掲げる権利を確認することができる。このため、当該軍艦は、疑いかある当該外国船舶に対し士官の指揮の下にボートを派遣することができる。文書を検閲した後もなお疑いがあるときは、軍艦は、その船舶内において更に検査を行うことができるが、その検査は、できる限り慎重に行わなければならない。
 
3 疑いに根拠がないことが証明され、かつ、臨検を受けた外国船舶が疑いを正当とするいかなる行為も行っていなかった場合には、当該外国船舶は、被った損失又は損害に対する補償を受ける。

4 1から3までの規定は、軍用航空機について準用する。
 
5 1から3までの規定は、政府の公務に使用されていることが明らかに表示されておりかつ識別されることのできるその他の船舶又は航空機で正当な権限を有するものについても準用する。
■と5つの場合があり、奄美沖の北韓武装工作船は最初に発見されたときに「不審船」は国旗を掲揚し国籍を明確にしていませんでしたので

>d 当該外国船舶が国籍を有していないこと。

にあたります。
よって、EEZ内に進入した武装工作船に対して停船を命令し、従わなかった場合に追跡、警告射撃するのは国際法上も合法であると言えます。

また警告射撃の後、船体射撃を行う事は平成13年11月の能登沖不審船事件の際に警告射撃に終始して逃走された教訓を汲んで、領海内に外国籍の不審船と思量される船舶がいて、海保長官の許可があれば、思い切って船体射撃ができると海上保安庁法が改正され、これに加えて警察官職務執行法の解釈を変更し危害を加えないような慎重・精密な船体射撃なら威嚇射撃の範囲として可能とした事が奄美沖に生きたと言えます。

まぁ、その危害射撃の後に強硬接舷しようと接近した巡視船「あまみ」「きりしま」「いなさ」に対して自動小銃、機関銃による攻撃がありその後携帯対戦車ロケット砲での攻撃による警察官職務執行法第7条に基づく「正当防衛射撃」では被弾168発に対して「いなさ」の加えた正当防衛射撃は186発と「警察比例の原則」が守られて-まぁ偶然でしょうがねw-います。

何で読んだか忘れましたが米国沿岸警備隊はこれら違反船に対し停船命令に従わなければ威嚇射撃を行い、威嚇射撃を3回行っても停船命令に従わない場合はエンジンルームを撃ち抜いても構わない方針だそうです。
無論、これもやたら滅多にバカスカ撃ってよいものではなく「警察比例の原則」は優先され決して過剰であってはならないそうです。

能登沖不審船事件の場合に我が政府が、万が一不審船がロシア領海内に侵入したら捕まえるようにロシア政府に対し要請したそうですが、何かの新聞では太平洋管区ロシア司令官のコメントとして「もしロシア領海に入ってきて命令に服従しない場合は、撃沈する方針であった。」と堂々と発表している。

したがって、国際法上領海内にいる不審船に対して適切な手段を踏んだ後であれば船体射撃し、撃沈することも合法のようですね。

では最後に画像でも。
b0062429_12471949.jpg



参考リンク
漁業法
海上保安庁法

東シナ海不審船事件
漁業監督官等
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by bosc_1945 | 2005-06-04 02:00 | 北韓・南朝鮮関連


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